書籍・雑誌

2019年8月20日 (火)

ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が豊かなのか

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著者、熊谷徹はドイツに29年住んで日本へ行き来している観点から書いている。私も25年まえインスブルグに住んだことがあって共感する内容であったし、統計資料が添えられているので実感できた。

消費面、労働時間、休暇など多彩な面から書かれている。日本の消費税に相当する付加価値税は19%もあるが日常食品はもっと低いようだ。

労働時間はきっちり守られ、年30日間の休暇を連続に取って、一見生産性が低いように感じるが、国民一人あたりGDPは日本より高い。生活満足度はノルウエーが最も高く10.0、ドイツ7.0、日本5.9である。

日本の消費王国やサービス「おもてなし」に行き過ぎを感じる。外国で生活すると日本の快適さは世界一であると思う。ドイツ人は生活の不便さに馴れていることもある。我々に反省させられることもあった。

ちなみに日本の国税庁2019年報告の平均年収は432万円だそうだ。

2019年8月 4日 (日)

ひとつむぎの手

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著者は慈恵医科大卒業の沖縄出身医師である。主人公、平良祐介は大学病院、心臓外科助手である。患者治療の日常と上司教授の論文改ざんにまつわる事件がテーマである。「ひとつむぎの手」とは生命の中心となる心臓の病を手術で治癒して、人のつながりを紡ぐという医療手段を意する。

心臓病の治療は内科系の循環器内科か、外科系の心臓外科かの選択を迫られる時がある。その対立、非常に興味あった。また研修医3人の指導状況と論文改ざん事件の解明がこのテーマを面白くしている。

患者の終末の記述やせっぱ詰った治療選択には極大の感動を覚える。解離性大動脈瘤の手術かいなく臨終を迎える患者、14歳女児の横紋筋肉腫が急変して蘇生する状況、高齢の糖尿病患者で冠動脈梗塞治療を外科バイパス術にするか内科カテーテルにするかの選択は興奮する。

医師たちの出世願望とそれを阻止するいやがらせ事件も面白かった。

2019年7月22日 (月)

皮膚はすごい

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傳田光洋著の「皮膚はすごい」を読んだ。著者は京都大学分子工学の専門であり、資生堂研究員である。

医師でない人の考えに興味を覚えた。皮膚はバリア機能、防御機能を持っている。

人間は120万年前に体毛を無くした。人間の皮膚は1000億個以上の表皮細胞からなり、ケラチノサイトを含み五感を感ずるという。皮膚は温度、圧力、聴覚、味覚、臭覚などを感ずる脳と二つの情報処理装置の機能を持っているという。

皮膚の種々な機能が面白い。

2019年6月21日 (金)

新章神様のカルテ

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小学館出版今年2月発刊で、著者は信州大学医学部卒業である。神様のカルテシリーズの4作目で大学病院編になる。主人公は大学院生9年目内科医栗木一止で救急医療のチームで細君と長女2歳の小春が家族だ。

安曇野の美しい風景、大学病院の複雑なシステム、家族のことなどの記述に興味あった。

患者の状況で2人が面白い。1人目は「岡」さんで血便の大腸炎でCT検査で膵臓癌らしい像がカンファランスで問題になったが、珍しい自己免疫性膵臓炎を確定した記述である。

2人目は29歳女性「二木」さんで7歳の理沙ちゃんがいる家族で、若年性のステージIVの膵臓癌患者だ。手術不可で抗ガン剤治療も効果なく退院した彼女を大学へ連れ戻して不評が広まった事件である。院生に痛いバイト禁止の処罰を受けたが、最終的に医療に熱心な一止はチーム長に昇格になった。

住んでいる古い御嶽荘の住民の表現、とりこわしをめぐる問題、チームそれぞれの人格表現も面白い。専門的用語で膵疾患検査ERCP(内視鏡的逆行性胆管造影)や膵臓抗がん剤に使われるFolfirin-NOX、ジェムーアブラキサン、自己免疫膵臓炎の検査免疫グロブリンのIgG4が何回も出てきた。昔、大学病院に勤めたことがあって良く理解できた。

2019年1月22日 (火)

The Last Girl

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 ナディア・ムラド著「The Last Girl、私を最後にするために」(東洋館出版社)を読んだ。著者は21歳の学生で、2018年ノーベル平和賞を受賞した。戦争の性暴力を根絶する活動家である。

 イラク北部に住んでいたが、イスラム(ISIS)に襲撃され性奴隷となったが、運よく逃亡でき助けられた。その事実が述べられる衝撃的な内容である。

 第1部は襲撃される前のコーチョという村の生活、第2部はイスラムによる襲撃と戦闘員によるレイプによる囚われ、第3部は戦闘員からの逃亡の3部からなる。

 ナディアは11人兄弟の末子であり、襲撃から運よく逃亡できた。この世界でこのような体験は私を最後にするという活動をしている。

2018年12月20日 (木)

和の行事えほん

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 高野紀子作の「和の行事えほん」は1年中の行事が「1春と夏の巻」と「2秋と冬の巻」の2巻に忘れかけている行事が説明されている。

 小さいころ親に教わった行事が今となって省略されつつある。

 12月の「年越し」はもともと正月をむかえる準備をすることを云ったが、今では年末の夜から新年の夜明けにかけてすごすことを呼んでいる。

 新しい年の神さまを迎えるために家中すみずみまできれいに掃除し、きよめる「すすはらい」、そして正月用の食品を売る市「年の市」などの言葉も懐かしい。

 大晦日の夜を除夜とよび、人間の煩悩の数108つの鐘をついて新しい年を迎える「除夜の鐘」、大晦日の夜に「年越しそば」を食べて長いそばにちなんで長寿を願う。

 1年の最初の日、1月1日は「元日」、「元旦」は元日の朝をいう。「鏡餅」は年神さまにそなえるおもちで、神様がやどるとされていた鏡のように丸いおもちをそなえる。11日の鏡開きまでそなえる。

 「屠蘇」は正月に飲む薬酒で長寿になると云われた。

 などの言葉が絵と一緒に説明されている。

2018年12月 3日 (月)

イデアの影

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 本のタイトルに似合わなく不思議な本だった。読みやすいので一気に読め、何か自分の身辺に近く寄ってる感じもした。

 こじんまりした会社経営者と年離れた若く美しい奥さんの話である。家政婦ヤハギさんと三人で住んでいる。主人は奥さんに厳しい態度であった。イングリッシュガーデンのような広い庭のある家である。彼女と接する人が次々に亡くなるが、決して気持ち悪くなく自然に時が過ぎる。

 最初の人は会社の若い男性で英語を教えてもらうハセガワさん。英語の教えとクラシックのレコードを借りたり、庭の薔薇の香りを一緒に楽しんだ。ある日、彼が浴槽で死んだ。フィアンセに結婚を断られた後のことだった。

 主人の従妹が大学受験のためススムくんがしばらく一緒に住まうことになり、この家は若返る。

 主人と接している政治家タカヤナギ先生が主人の出張中に訪れる。先生とは舞踏会で会った人であり、彼女に関係を欲して訪れ、もみ合いになったところにススムくんが助けに入る。先生は床にたおれそのまま息を引く。ススムくんも薔薇のある庭で首をつって死んだ。

 彼女はその後、体調が悪くなって修道院であった静かな療養所に移る。院長先生が彼女の主治医になる。そこでハーモニカを吹く少年を知るが療養所の誰も知らないという。まぼろしのハーモニカ少年がこの後いくつかの場面に登場するが、彼女のもうろうとした心が後半のテーマでもある。

 季節を見送りながら、主人が療養所に迎えに来て家に戻ることになる。家政婦ヤハギさんは亡くなって若いシミズさんに代わっていた。主人はその三日後に亡くなる。再び彼女は療養所に戻って過去の事件について回想にふけって終わる。

 作者は元名古屋大学に勤めた60歳すぎ工学博士である。四章からなるが各章冒頭に細雪から引用した文が出る。心地よい文であった。

2018年10月21日 (日)

わが心のジェニファー

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 浅田治郎著「わが心のジェニファー」(小学館)が面白い。

 主人公ラリーは生粋のニューヨカーである。ラリーの彼女ジェニファー(ジェニー)はたいそうな日本びいきである。彼女にプロポーズしようとしたら、まず日本を見てきてほしいと云われ、旅先から感じたままの手紙を要求された。

 休暇をとって携帯とPCを持たず、2冊の日本ガイド書を手にして2週間あまり旅をする。

 最初、日本の航空会社の機内のことから始まる。日本のすばらしさを感じる本である。旅する新宿、新幹線、旅館、日本料理、京都、温泉、大阪、別府など、これまで感じなかった日本の特徴が述べられる。また、京都で会った彼女「マコト」や、温泉を旅する外人「スパーマン」とのつきあい、地下街で上流階級の少年「ジョージ」と母親との出会いなども面白い。

 最後、北海道でみる番いの丹頂鶴のダンスを手紙に書いて「僕と結婚してください」と云って終わる。

 日本人作家の本であるので、終には少し飽きっぽくなるが日本人である幸せを感じた。

2018年8月 7日 (火)

水曜日の凱歌

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「水曜日の凱歌」乃南アサ著新潮社刊を読んだ。第二次世界大戦終戦後の日本の社会状況をテーマした小説であり、その頃の状況が少し記憶にあるので興味あった。

7人の家族であったが一番下の鈴子と母の終戦後の生活である。昭和20年3月に東京大空襲で大都会が焼け野原になり隅田川の悲惨な風景がある。8月6日には広島に原子爆弾が、続いて長崎にも落とされてついに8月15日敗戦終戦となる。

終戦となって米国進駐軍が日本に来ることになった。駐屯軍の慰安をする特殊慰安施設協会が(RAA)設立されて、それにまつわる生活がストーリーの中心だ。いわゆる売春で当時パンパンと呼ばれてた。18歳から25歳の女子約5千人が募集された。空襲にあわなかった熱海がその舞台である。母は英語が少しできるということで、RAA運営に関連した仕事で生活する。本人はその上級将校の付き合いで異次元の生活をする。箱根は上級将校の集まる街であり、銀座にはPXという進駐軍用の店があって何でも手に入ったそうだ。

街には孤児、浮浪者などがあふれひどい社会であったが、RAAにかかわる人はまずまずの生活ができる社会であった。年末に開催されるNHKの紅白生中継がその年に放送された。タレントの金語楼、エノケン、ディックミネ、古川ロッパ、水の江瀧子、淡谷のり子らの名前が懐かしい。

日本新円の切り換えもあった。翌年には慰安施設のオフリミットがあってストーリーが終わる。

慰安婦は進駐軍兵による婦女への暴行を未然に防ぐ政府の対策であることを改めて知った。韓国ではその罪をいまだに引いている大きな問題だ。敗戦によって日本は大混乱するが73年でよく立ち直れたと思う。

2017年3月 8日 (水)

えんとつ町のプペル

岐阜市図書館で借りた。昨年秋に刊行された人気の絵本である。製作に4年半を費やしたという。

ゴミ人間であるプペルとえんとつ掃除のルビッチの物語である。ルビッチは漁師の子であるが父は波にのまれて死んでしまい、えんとつ掃除夫になった。

プペルとはハロウインのとき知り合った。

プペルはルビッチの父の船に風船をつけて、2人で乗って星を観に行った。えんとつからただよう煙多い街で星は見れないが、父から星の美しさを聞いていた。

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ルビッチはただ一つしかない父親の写真が入った大事な銀色のペンダントを煙突掃除中に亡くしてしまった。

船はけむりを抜けて美しい星の世界に入っていった。

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写真の入ったペンダントはプペルの傘についていた。星も見れたしプペルに感謝していたがプペルは父親であったそうだ。

街は千と千尋の神隠しの情景や四日市を思い出せる。ネットで無料公開している。

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