心と体

2012年12月14日 (金)

脳卒中リスク低下の食品と身体活動

Photo シクラメン

Medical Tribuneの12月13日号(Vol.45, No.50)に興味ある記事が掲載されたので引用紹介する。記事はドイツの医学セミナーで報告された内容である。

リンゴ、ナシ

ドイツの研究で野菜と果物を色別に4つのグループに分類して、2万例以上を10年間にわたり調査された。その結果、白色グループのリンゴ、ナシが脳卒中予防に最も効果があった。摂取量を4段階に分けると、最も多く食べる群は最も少ない群に比較すると52%も発症率が低かった。

りんごは欧州でよく食される。なしは西洋なしであろう。両者は植物繊維が豊富である。また、りんごにプロシアニジン、西洋なしにフラバノールやアントシアニンが含まれ、この成分はいわゆるポリフェノール類である。ポリフェノは抗酸化作用、動脈硬化や脳卒中に対して予防効果となるであろう。食物繊維と共に体に良い成分である。

オリーブ油

フランスに居住する65歳以上の7,625例を調査した。調理においてオリーブ油を摂取している群では非摂取群に比べて脳卒中リスクが41%低かった。

オリーブ油は一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が主成分である。他の食用油脂に比べて酸化されにくい。動脈硬化の予防はよく知られる。

チョコレート

スエーデン、カロリンスカ研究所の3万3000人の女性を対象にした調査で、チョコレート摂取量を週、66g摂取群は8g摂取群に比べて脳卒中発症率が20%低かった。

チョコレートの主成分はカカオである。カカオはカカオ・ポリフェノールが豊富であり動脈硬化予防に効果がある。

身体活動

台湾の40万例の研究で1日15分の身体活動だけで脳卒中死亡率は14%低下した。

米国の研究で、野菜果物5種類以上摂取、月12回以上の身体活動、BMIの正常維持、適度の飲酒、非喫煙の状況と脳卒中リスクとの関係が調査された。多くの項目をクリアする群ほどリスクが低かった。

2011年9月20日 (火)

糖尿病とインクレチン

Photo にら

2007年の厚労省調査で糖尿病を疑われる人890万人、否定できない人1320万人と云われる。主に生活習慣の乱れが原因である、2型糖尿病は大きな社会問題となっている。2型糖尿病の治療は生活習慣の是正であり、だめな場合に治療薬を使うことになる。

血糖値をコントロールするホルモンとしてインスリンとグルカゴンはよく知られていた。最近インクレチンというホルモンが話題になっている。血糖値が高いときに作用し、低いときは作用しない血糖依存性ホルモンである。

ハリソン内科学に胃手術を受けた場合、胃から小腸へ食物が急速に移動するので血糖の上昇と腸インクレチンの放出により過剰なインスリン反応を起こし低血糖(反応性低血糖)を誘発することが記載されている。

血糖をコントロールするホルモンはインスリン、グルカゴンに加えてインクレチンが加わることになる。

インクレチンは小腸から分泌されるホルモンであり2つのホルモンをさす。グルカゴン様ペプチドー1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)である。血糖コントロール作用はGLP-1が強い。

作用は膵臓β細胞を刺激してインスイン分泌促進、膵臓α細胞を刺激してグルカゴン分泌を抑制し血糖値をコントロールする。その他、胃から小腸への食物移動を抑制する。中枢神経に作用して食欲を抑制する。

インクレチンは分泌後、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって分解されるので半減期は2-5分と短い。

最近、高血糖をコントロールする薬としてDDP-4を阻害する薬が開発され、2型糖尿病治療薬に用いられている。下に示すが薬物動態に特徴がある。腎臓から排泄する薬物は腎機能障害によって血中濃度が高くなるので投与量を調整しなければならない。

ジャヌビア(シタグリプチン、MSD):腎臓から未変化体として排泄

ネシーナ(アログリプチン、武田薬品):腎臓から未変化のまま排泄

エクア(ビルダグリプチン、ノバルテイスファーマ):代謝により排泄、腎臓から23%排泄

トラゼンタ(リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム):糞中に未変化のまま排泄、腎臓から5%

資料:MedicalTribune, Vol44, (36), 8, 2011